東洋医学で読み解く感情と五臓の関係|季節の変化に合わせたヨガで心と体を整える方法

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東洋医学の知恵をヨガに活かすセルフケア

東洋医学は、人体に流れる気や陰陽のバランスを重視し自然治癒力を高めることを目的とする一方、ヨガはインド発祥の心身統一の実践として呼吸法や瞑想を通じて内なるエネルギー(プラーナ)の流れを整えるため、両者は体内のエネルギー循環の改善と心身の調和を図るという共通の理念に基づき、健康増進と精神的成長を促進する補完的なアプローチとして相互に関係しています

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陰陽五行説

1. 東洋医学の基本思想と陰陽五行説

陰陽五行説の基礎
東洋医学(漢方)の根幹は、自然の法則としての「陰陽論」と「五行説」にあります。

  • 陰陽論:物事を相反するエネルギー(陰と陽)として捉え、バランスが健康の鍵となると考えます。

  • 五行説:自然界は火、木、土、金、水の5つの要素から成り、体内でもこれらのエネルギーの循環や調和が重視されます。

体の分類と「気血水」および五臓
漢方では、体を5つの性質(気血水など)に分類し、内臓を「五臓六腑」として捉えます。特に重要なのは、

  • 五臓:心、肝、脾、肺、腎
    これらは、西洋医学での臓器と名称が似ているものの、相互に助け合う(相生)・抑制しあう(相克)関係を通じて、エネルギーの流れやバランスを保っています。
    健康とは、体と心の両面がバランスよく機能している状態とされ、精神面の健やかさも含めた全体的な調和が求められます。

2. 感情と身体の健康の関係

エネルギー

「病は気から」という考え方
東洋医学では、体内のエネルギー「気」が内臓や組織、器官の働きを活発にし、生命活動を支えています。

  • 気の乱れ:気の状態が悪くなると、臓器の働きが低下し、さまざまな病気が発生する原因と考えられます。

  • 血の役割:精神の安定の基盤となる「血」は、過不足や停滞があると、精神にも悪影響を及ぼします。

    • 例:血が多すぎるとイライラや怒りが強くなり、血が不足すると恐怖心や臆病さが現れます。

内因としての感情の影響
東洋医学では、病気の原因を「外因(身体の外側からの侵入)」、「内因(身体内部から発生するもの)」、「不内外因(外因、内因のどちらにも属さないもの)」に分類します。

  • 内因:ここでは、過度な感情、すなわち強すぎる感情や長期間続く感情が、体内の気血や陰陽、臓腑、経絡のバランスを乱し、病気の原因となると考えられています。

  • 七情(しちじょう):怒、喜、思、悲・憂、恐、驚の7つの基本的な感情があり、これらのバランスが崩れると内傷七情と呼ばれ、臓腑に悪影響を与えます。

3. 感情と五臓の関係

感情

東洋医学では、各感情が特定の臓器の気に影響を及ぼすとされ、その関係は以下の通りです。

  • ① 怒(ど) – 肝(かん)
    怒りが過剰になると、肝の気が上昇し、血とともに頭部へ上る現象が見られます。特にストレスと深い関連があるとされています。

  • ② 喜(き) – 心(しん)
    喜びすぎると、心の気が緩み、精神の安定作用が失調します。心はすべての感情に影響を受けやすく、バランスが崩れると不安定になります。

  • ③ 思(し) – 脾(ひ)
    思い込みや過度な悩みが続くと、気が鬱結し脾の働きが低下します。これにより、やる気の喪失や食欲不振などの症状が現れることがあります。

  • ④ 悲(き)・憂(ゆう) – 肺(あき)
    過度な悲しみや憂いにより、肺の気が弱まり、呼吸器系の働きが低下し、意気消沈や体調不良に繋がると考えられます。

  • ⑤ 恐(きょう)・驚(きょう) – 腎(じん)
    恐れや驚きが強くなると、腎の固摂作用が失調し、腎の気が低下します。これにより、精神が混乱状態になりやすくなります。

4. 病因の分類

東洋医学では、病気の原因は以下の3つに分類されます。

  • 外因:身体の外側から侵入してくる原因(例:風邪、外傷など)

  • 内因:身体内部から発生する原因

    • ここでは、感情が過度に強く、長時間続くことによって、気血・陰陽のバランスや臓腑、経絡の流れが乱れることが挙げられます。

  • 不内外因:外因とも内因とも区別されない原因

内因の中で、特に感情の影響は五臓の気の流れに直接関与し、バランスを崩す大きな要因となっています。

5. ヨガレッスンへの応用と季節ごとのケア

東洋医学の知恵は、ヨガレッスンに取り入れられ、季節や感情、体内の臓腑のバランスを整えるためのシークエンス作りに活用されています。以下、季節ごとの具体的なテーマと特徴をまとめます。

5.1 春のヨガレッスン

ヨガ

  • おすすめテーマ:平穏、受容、デトックス、自律神経、アレルギー対策

  • 春の特徴と影響

    • 春は寒暖差が激しく、風が強いため、体内に「風邪(ふうじゃ)」が入り込みやすく、上半身や皮膚にトラブルが現れる傾向があります。

    • また、陽気になることで肝の気が上昇しやすく、頭痛、血圧の上昇、感情の高まり(イライラ)などの症状が出やすい。

  • レッスンの工夫

    • 背骨に意識を向け、グランディングを意識したシークエンスを組む。

    • 呼吸法は『吐く息』に焦点を当て、リラックスしながら自律神経を整える。

5.2 夏のヨガレッスン

ヨガ

  • おすすめテーマ:集中、喜び、夏バテ防止、むくみ解消、ストレス発散

  • 夏の特徴と影響

    • 夏は高い湿度と蒸し暑さが特徴で、暑邪(ショジャ)や湿邪が体内に影響を及ぼします。

    • 汗として発散される水分が多く、余分な水分が体に残ると胃腸の調子を崩す原因となり、だるさやむくみが出る。

    • 冷房の使いすぎにも注意し、首や腰、足首の冷えを防ぐ必要がある。

  • レッスンの工夫

    • こまめな水分補給を促し、むくみを解消するポーズを取り入れる。

    • アクティブなフローヨガでストレス発散しながら、シャバーサナでリラックスする時間も十分に設ける。

5.3 土用のヨガレッスン

  • おすすめテーマ:感謝、労り、胃腸の調子を整える、リラックスヨガ、不眠ケア

  • 土用の背景

    • 陰陽五行説では、自然界は火、木、土、金、水の5要素で成り立ち、季節はこのうち「土」のエネルギーが盛んになる時期(立春、立夏、立秋、立冬前の18日間=土旺用事)として位置づけられます。

    • 日本では夏バテ防止のために丑の日にうなぎを食べる習慣もあり、体の中心である消化器(脾)の調子が特に重要視されます。

  • レッスンの工夫

    • ゆったりとした腹式呼吸や胸を開くポーズで、中心軸(体の土のパワー)を整える。

    • 季節の変わり目に対応するため、教室内の温度管理にも配慮しながら、心を前向きにするレッスン内容を心がける。

5.4 秋のヨガレッスン

ヨガ

  • おすすめテーマ:慈愛、満足、呼吸、便秘解消、潤い

  • 秋の特徴と影響

    • 秋は気温と湿度が下がり、空気が乾燥するため「燥邪」が皮膚や髪、呼吸器(肺)に影響を与えます。

    • 乾燥により、皮膚病や喘息、便秘などのトラブルが生じやすくなります。

  • レッスンの工夫

    • 呼吸に意識を向け、免疫機能を高める内容を盛り込みます。

    • セルフマッサージなどを取り入れ、皮膚や肺を刺激し、体内に潤いをもたらすよう工夫します。

5.5 冬のヨガレッスン

ヨガ

  • おすすめテーマ:安心、安堵、腎臓への労り、冷え対策、エイジングケア、骨盤調整

  • 冬の特徴と影響

    • 冬は寒邪(寒さ)が体を縮こまりにさせ、血行不良による末端の冷えや痛み、新陳代謝や免疫力の低下を招く時期です。

    • 特に「腎」は生命エネルギーの源とされ、腎の不調は老化現象や体内エネルギーの低下につながると考えられています。

  • レッスンの工夫

    • 骨盤底筋群を鍛えるトレーニングや、下半身を内側から温めるポーズを取り入れ、腎のエネルギーアップを図ります。

    • 姿勢改善や、寒さによる体の冷えを防ぐ工夫をしながら、全体のバランスを整えるレッスンを展開します。

 まとめ

東洋医学の知恵とヨガの実践を融合するこのアプローチは、五臓のバランスや気血の流れ、感情とのつながりを深く理解するための有効な手段です。季節ごとの環境変化が心身に与える影響を踏まえ、東洋医学の理論を取り入れたヨガのシークエンスは、ストレスの緩和や自己調整力の向上に役立ちます。自然のリズムに寄り添いながら、心と体の調和を整える指針として、日々の健康維持に活かしていける内容です。

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